(前回までのあらすじ)
クラシコムとして最初に取り組んだ事業がうまくいかず、さあこれ
からどうしようかと頭を抱える佐藤とアニ。話をしているうちに
本当に自分たちがスキで、向いていることを仕事にしてみようとい
う単純な結論に至る。その話の流れで佐藤が話し出した、ストッ
クホルムに出かけた時に受けた衝撃についてのアレコレが
「北欧、暮らしの道具店」の開店に繋がっていきます。
(第二回)
佐藤はその年の初めにストックホルムに1週間ほど滞在していま
した。
旦那さんがストックホルムの家具見本市「グリーンハウス」に出
展するお手伝い(単なる便乗か?)で行っていたんです。そして
彼女にとって実際に北欧の地に降り立ったのはその時が初めてで
した。
それまでも、彼女は個人として、また一人のインテリアコー
ディネーターとして(店長佐藤は昨年末ごろまでインテリアコー
ディネートの仕事をしつつ当店を運営していました)北欧の新旧
プロダクトに興味を持っていたそうです。
本や雑誌、ネットなどの情報に接して常日頃あこがれていたスト
ックホルムですから、旦那さんの手伝いそっちのけで、アンティ
ークショップや蚤の市を巡るぞ!と意気込んで出かけていきまし
た。
しかし彼女が日本に戻ってきてから
「衝撃を受けすぎて、日本での生活にうまく戻れない」
とまで言わしめたその衝撃は、単に好きなものがいっぱいあっ
た!とか、おしゃれなスポットが!とか美しい自然が!といった
ものたちから受けたわけではなく、ストックホルムで暮らす
人たちのライフスタイルや価値観、そしてそういったものから
生み出される彼らの暮らし方から受けたものでした。
*世界でもトップクラスの競争力を持つ産業を排出している国で
あるのに、人々はワークライフバランスを重視し、ほとんどのオ
フィスは6時ごろには真っ暗に!
*訪れた現地のメーカーのオフィスで見られるフラットな関係性
*街に余分な音や街並みを汚すグラフィックが無いこと。
*びっくりするぐらいの住宅事情の良さ。
*街角ごとに素敵なカフェがあり、みんながそれぞれフィーカ
(お茶をすること)を楽しんでいる様子
などなど。
クラシコムは創業から「フィットする暮らし、探そう。」を
キャッチフレーズにしているのですが、佐藤いわく
「私のフィットする暮らしはストックホルムにあった!」
ということだったようなのです。
話を聞くにつれ、よく似た価値観を持つ僕にとってのフィットす
る暮らしもそこにあるように思われ、いてもたってもいられなく
なりました。
そこで、なにか仕事にかこつけてストックホルムに行く方法は
無いかなーと考えはじめました。
僕たちが最初に取り組んでうまく行かなかった仕事は、インター
ネット上のサービスを利用してもらう、いわば形の無いものを売
る商売でした。
それは確かに先進的であるのですが、であるがゆえに何か確かさ
のようなものが無く、やっている自分でもとらえどころが無い様に
感じていました。
なのでその当時は、もし次に何かやるなら何か形のあるものを仕
入れて売るというような、当たり前の商売をしてみたいと考えて
いる頃でした。
そこで佐藤に、
「なにか北欧で仕入れて日本で売れるような、魅力的な商品には
出会わなかった?」と聞いてみました。
佐藤はうーんとうなってしばらく黙って考えていましたが
「調べてみないとわからないけれど、北欧のヴィンテージ食器と
かキッチンウェアなんかは日本でも人気があるし、私も好きだか
らある程度目が利くし、出来るかも・・・・」
と言い始めました。
(次回に続きます。)